天神さんと親しまれている天満宮は、菅原道真が学問に秀でていた事から学問の神様として、今も受験生の参拝が多い事と思います。 しかし、菅原道真は大宰府に左遷され、失意の中に死んだと言われますが、それ以降わずか六年後には、道真を流した張本人ともいえる藤原時平が三十九歳で死去したのをはじめ、その後保明親王、慶頼王、藤原清貫、平希世、美努忠包、そして醍醐天皇が、続けて病、落雷、などによって落命しています。そのほか、雷雨、日照り、疫病などが続き、人々が道真の祟りと考えた事もうなづけます。 能「雷電」では、菅丞相は、自分の恨みを晴らす為、邪魔になる自分の師、法性坊(尊意)律師僧正にも怒りを向けます。しかしどれだけ怒っても、やっぱり恩を受けた師に対して、雷は避けます。 辛い事があり、人を許す事が出来ない、「恨む」という事は、誰にでもあるかもしれません。また、人が独りで生きられるはずはありません。その中で必ず「恩」というものを受けます。 私にとって「雷電」は、「恩」と「恨み」について改めて思い起こさせてくれる能です。 平成18年4月29日ホテル賀茂川荘「春の薪能」 パンフレット用 上田拓司 |