執筆 河内 厚郎 いよいよ西宮市高松町(阪急「西宮北口」南西)に兵庫県の芸術文化センター(仮称)が着工します(施工は2005年)。その建設地には、今から半世紀前、日芸会館という立派な劇場がありました。劇団民芸が旗揚げしたところで、能はもちろんの事、歌舞伎や文楽も上演されて、今の鴈治郎丈などが若い頃に出演しています。 この劇場を建設したのは、能楽界の人々で、中心となったのは故・上田隆一 でした。時代に先んじ過ぎたのか、日芸会館の果敢な試みは永続しませんでしたが、その貴重な足跡は日本文化史の中でもっと評価されてしかるべきだと思います。 その上田隆一の孫である上田拓司氏が、阪神大震災を機に、夙川沿いの風光明媚な住宅街に本格的な能の稽古場をつくってくれました。市民を対象にした教室も開いて普及に努めておられます。
西宮市民のひとりとして心から御礼を申し上げます。
在りし日の日芸会館
河内厚郎 (かわうち あつろう)文化プロデューサー、(財)兵庫県芸術文化協会参与
演劇評論家として執筆活動に入り、近畿各自治体の文化行政に参画。月刊「関西文学」編集長。(財)阪急学園・池田文庫理事。NHKラジオセンター・21世紀プロジェクト委員。夙川短期大学教授。「宝塚映画祭」実行委員長」。著書に「もうひとつの文土録」「阪神観」(共著)「手塚治虫の世界」(編集)等がある。西宮市在住。